第4回若手研究会

第4回若手研究会を、11月18日(金)に開催致しました。

日 時:2011年11月18日(金)18時~19時半
場 所:東京大学社会科学研究所1階 第一会議室
出席者:15名

報告者:櫻田智恵(上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科
    地域研究専攻博士前期課程2年)

報告タイトル:プミポン国王(ラーマ9世)による地方行幸と「チャート(タイ国民)」:1969年~1990年代を中心に

【要旨】
 本研究では、「チャート、宗教、国王」としてタイらしさの一角を担う国王に注目し、国王による行幸が、具体的にはどのような役割を果たしてきたのかについて明らかにする。タイの現国王は「国民に寄り添う父」として描かれ、王室の支持率の高さは、1950年代から行われてきた地方行幸に支えられていると考えられている。しかし、実際に国王の行幸内容を分析した研究はなく、その役割については言説の域を出ていない。1969年から急増する国王の行幸は、1992年の「5月の暴虐」事件以降激減する。この期間に行われた行幸の実態を分析し、行幸が現代タイにおける「チャート(国民)」形成に及ぼした影響について明らかにする。

【当日の様子】
 第4回の若手研究会は、諸事情から変則的に平日の夕方に開催した。金曜日であったため、多くの方から参加したいものの都合がつかないというメールも頂いていたが、研究会自体は、小規模ながらも非常に活発な議論、質疑応答が行われた。
 櫻田氏の報告は、現国王の行幸に焦点をあて、(1)行幸と国王の政治的役割の関係、(2)反共の文脈で語られることの多い行幸のその他の役割について、(3)「チャート(国民)」形成に具体的にどのように寄与したのか、といった問いを明らかにすることを目的としていた。
 分析には、王室秘書局編の国王陛下の公務記録を用いている。1969年10月から2006年9月の記録をデータベース化し、根気良く集計した結果に基づき、分析が行われた。具体的には、行幸の内容、滞在日数や地域別、時代別データの検討を通じて、イメージの中で語られる行幸と実際の違いを一つずつ、検証した。
 フロアからは、様々な質問やコメントが出された。データからは幾つか新しい事実が読み取れるため、データをめぐる質問や解釈について助言、議論が活発に行われた。また、反共政策とのかかわりでは、具体的な国王の訪問先の中身に関して質問が出された。行幸の増減と時代の変化、それに伴うメディアの役割の変化に関する議論や、王室プロジェクトの増大とその内容、予算の変化との関わりなどについても質問が出された。今年度にまとめる修士論文だけでなく、その後の研究への期待も含めた質疑や助言が続き、有意義な時間であった。今後の研究の展開を期待したいと思う。

(文責:遠藤環)

写真:報告を行う櫻田氏

写真1:報告を行う櫻田氏


写真:会場の様子

写真2:会場の様子1


写真:会場の様子

写真3:会場の様子2